ライオスとカブルー、このふたりはまさに「対極」の存在です。主人公と裏主人公、物語の鍵を握るキーマンふたりの関係性を考察していきます!
(※ネタバレ注意)
あらゆる面で正反対のふたり
見た目
まずは「容姿」から。薄茶髪に白い肌、琥珀色の眼をしているライオスに対して、カブルーは黒髪に褐色の肌、青い眼をしていています。
こうやって2人並ぶとその違いが際立ちますね!表主人公ライオス・裏主人公カブルーといった感じが二人のキャラデザからびんびん伝わってきます。おそらく、作者の九井先生は、ふたりの性質が対極にあることを視覚的にも分かりやすくするために、こんなキャラデザにしたんでしょうね。
魔物好き(人間嫌い)vs人間好き(魔物嫌い)
そしてなんといっても2人が対極にいるといわれる最大の理由がこれでしょう。
ライオス…大の魔物好き(人間嫌い)、カブルー…大の人間好き(魔物嫌い)
この2人の性質の違いは作中の戦闘にもよく現れています。
ライオスの強みはなんといってもその「魔物に対する知識の深さ」です。瞬時に魔物の正体を看破し、弱点を突くことができます。
例えば、仲間の姿を真似る魔物に出くわした時でも、ライオスは冷静に魔物の正体を割り出します。普通のパーティーであれば大混乱に陥っていたとこでしょう。対魔物戦において、ここまで頼りになる人物は他にいません。しかし一方、対人戦はというと、こちらは「からっきし」だそうです。ナマリ曰く「人間に興味がないから人間の倒し方を知らない」とのこと。
そしてカブルーはというと、対人戦においてかなりの戦闘力を誇ります。そのレベルはというと、不意を突いたとはいえ、作中人類最強キャラであるミスルンを抑え込んでしまう程!
持ち前の観察眼から相手を分析し、お母さん(元カナリア副長)仕込みの剣術で敵の急所めがけて容赦のない攻撃をしかけていきます。しかし一方、駆け出し冒険者らしく魔物戦には不慣れなようで、宝虫や魚人程度にパーティーを全滅させられてしまいます。
本人が「魔物なんて見たくも触りたくもない」と言ってることですし、魔物には相当な苦手意識があるようです。
相性最悪から友達へ
カブルーから見たライオス
そんな対照的な2人ですが、カブルーは当初ライオスについてこんなことを言ってました。
最初、読んだときは「何じゃこいつ」と思ったものです。
ただ後々語られた内容を見ると、カブルーはライオスと接点を持つためにかなり奔走してたんですよね。おそらく誰の懐にでも入り込むカブルーにとって、仲良くなるためにここまで苦戦した相手は始めてだったんじゃないでしょうか。
これらの経緯を考えると、カブルーにも同情したくなります。
はじめの頃は、ライオスに対して何やかんや言っていたカブルーですが、物語の終盤、彼のライオスに対して秘めていた思いが爆発します。
言葉よりも先に頭で考える理性的なカブルーが、思わず本音を漏らしてしまうという貴重なシーンです。ただ「友達になりたかった」。それが彼の偽らざる本音でした。
カブルーはどんな人間でも、例えば自分に敵意を持ってる相手にも、容易にその懐に入り込むことができます。
それは彼のこれまでの経験と優れた頭脳・洞察力の賜物であるのですが、ライオスという「カブルーの理解の外」にいる人物にはそれが全く通じません。それは誰でも手玉にとることができる彼にとってはある種、恐怖の対象であり、心ざわつかせる存在であり、そして友となりたいと思えるような無二の人物だったのでしょう。
そして、「ダンジョン飯 ワールドガイド 冒険者バイブル 完全版」で描かれた最終回その後の1コマがこちらです。
はじめの頃のカブルーのこの発言を覚えていますか?
最初は「迷宮の主(王)になるべきではない」とまで言っていたのに、カブルーはこの時とは真逆の発言をしています。その発言を聞いていたリンは「どの口が…」なんて言っちゃってますね笑
私は、このカブルーの言葉、お得意のおべっかだとは思いません。おそらく、人付き合いが不慣れでも王として懸命に人々と向き合っているライオスを間近で見て、こういう心境の変化が起きたんだと思います。
二人の間にしっかりとした絆ができていることの証ですね。
ライオスに訪れる変化の兆し
私が今回1番力説したいのは、最終回後のライオスの変化です。
まずはこちらを見てください。
シュローにやらかし続けていた過去のライオスです。
距離感を測り損ね、相手のことを気遣う様子が一切ありません。自分の一方的な興味で話しかけているだけで、「相手が自分のことをどう思ってるかなんてどうでもいい」んです。言い換えれば「コミュニケーションを取る気がない」んです。
しかし、最終回後、王となり人と向き合う立場となったライオスはカブルーに対して、このような態度をとります。
明らかに以前のライオスとは様子が違うことにお気づきでしょうか?
こんな風に「相手の顔色を不安そうに伺う」なんて今までの彼からしたら考えられない行為なんです。言葉に詰まったり…人の機嫌を伺ったり…ライオスも普通の人間らしく、他者とのコミュニケーションに悩むようになってきたということでしょうか。
だからカブルーも「今の」ライオスなら良い王様になると思ったんでしょうね。
ふたりのこれから
迷宮攻略後、ライオスはメリニの王に、カブルーはヤアドの元で政治を学んでいます。
カブルーはゆくゆくはヤアドの跡を継ぎ、ライオスの右腕として宰相的な立ち位置になるのでしょうね。(ライオスに散々振り回されるカブルーの姿がめに浮かびます…)
ファンとしては二人がどんな風に国を治めていくのか非常に気になるところです。
ちなみに……
私が「ダンジョン飯」ファンの皆様にぜひおすすめしたいのが『ダンジョン飯 ワールドガイド 冒険者バイブル 完全版』と『九井諒子ラクガキ本 デイドリーム・アワー』です。著者の描き下ろし漫画やイラスト、秘蔵設定資料…と内容盛り沢山で、ダンジョン飯の世界に深く浸りたいなら絶対に外せない一品となっています。ブログ主もこういう設定資料集とか好きでよく購入するんですが、今まで見た中で群を抜いておもしろかったです。ほんとにマジでおすすめです。