人気漫画「ダンジョン飯」に登場するライオスとマルシルのふたりは、よく夫婦漫才みたいなかけ合いを作中で披露していますが、ふたりの関係性はどういったものなんでしょうか。ふたりが固い絆で結ばれていることは間違いありませんが、それは単に「パーティーメンバー」だからなのでしょうか?
いえいえ、確かに作中では直接的な恋愛描写はありませんが、ふたりの関係性は明らかに「ただのパーティーメンバー」を超えたものになっています!
以下、ネタバレ注意です!
ふたりの出会い
ふたりの出会いは2年前、ライオス24歳。マルシル48歳の時です。ふたりの出会いは、魔法学校から失踪したファリンをマルシルが追いかけてきたことから始まります。
実際は、兄のことを心配したファリンが自分の意志でライオスについていったのですが、それを知らないマルシルは、ライオスが無理やりファリンを連れ去ったのだと勘違い。ファリンのことが大大大好きなマルシルは、まだ見ぬライオスに対して、烈火の如き怒りを募らせます。
そしてついに対面することとなったライオス、マルシル、ファリンの3人なのですが、手違いでライオスとマルシルだけ、先にお互いの顔も知らないままに出会ってしまいます。
ここから何があったのかはぜひコミックを読んで欲しいのですが、色々なんやかんやあって、マルシルはライオス・ファリンのパーティーに加入し、ともにダンジョン攻略に挑む仲間となります。そこから2年が経過した頃、ファリンが炎竜に食べられてしまう事件が発生するのです。
ただのパーティーメンバー以上の関係性を匂わせるふたり
最終回まで「ダンジョン飯」を読んだ人ならお分かりとは思いますが、ふたりは恋愛関係ではありません。しかし、固い絆で結ばれているライオス一行の中でも、この2人の関係性は他のメンバーとは少し異なる描かれ方をしています。作中で気になったシーンを見ていきましょう!
マルシルに気を遣うライオス
ライオスは作中で、マルシルに気を遣うそぶりを随所にみせます。
「こんなの当たり前じゃん」と感じるかもしれませんが、気遣っているのがあのライオスだということを忘れないでください。
シュローとの一件からも分かる通り、ライオスは他者との意思疎通能力が圧倒的に欠落しています。 (というか、基本的に人間に興味がないため、そもそも相手に気を遣うことがない)
しかし、そんなライオスが作中で唯一、心中を慮る様子を見せている相手がマルシルなのです。
ーー「君にそういう顔(不安な顔)をされると落ち着かない」
ーー「マルシルが笑っていると安心する」
なんて言ってますが、もうこんなのほとんど愛の告白ですよね。しかし、ライオス自身もマルシルのことを普通のパーティーメンバー以上に大事に思っているということに気づいてないようです。
ライオスに身を寄せるマルシル
彼女は自分が窮地に陥った際、必ずといっていいほどライオスに身を寄せています。おそらく無意識の行動なのでしょうが、彼女の中で、それだけ彼の存在が大きく、心の寄る辺になっているということでしょう。
問題のサキュバスのシーン
これが決定的なのですが、第60話「有翼の獅子」にて、ライオスの前に現れたサキュバスはマルシルの姿に変身していました。
サキュバスとは、標的とした人間にとって1番タイプの姿で現れ、その人間を魅了する魔物です。
ライオスの場合、それがマルシルでした。
まあ、正確には「マルシルが魔物になった姿」なんですけどね。
ただ、ここで重要なのは、ライオスのタイプの女性のベースがマルシルになっているということです。これまでの言動から、おそらく現時点で、ライオスがマルシルに恋心を抱いているということはありません。ただ「自分でも知り得ない深層心理を読む」というサキュバスが、マルシルに変身したということは、間違いなくライオスは無意識下で彼女に惹かれているのです。
マルシルのデレシーン
上記以外のシーンでも、ふたりはとても仲が良く、距離が近いです。
ここまでで2人がどれだけ強い絆で結ばれているのか分かったと思います!
しかし、それではこれだけ強く結ばれている2人がなぜ恋仲に発展していないのか?
次で説明していきます!
ふたりの仲が進展しない理由
ライオス側の問題
パーティー内恋愛禁止
ライオスはチルチャックに「パーティー内の恋愛禁止」を厳命させられていました。チルチャックは、これまで組んでいたパーティが恋愛のいざこざで解散になっていたことからパーティー内での恋愛について強い忌避感を覚えていました。
現にマルシル加入以前、ライオス一行にもそういった恋愛絡みのいざこざの予兆があったことから、マルシル加入時には「絶対手を出すな」と強く言い聞かせられていました。
リーダーであり、真面目で、強い責任感を持つライオスはそれを受け、「仲間に恋愛感情を抱いてはいけない」と自分を強く律していたとしてもおかしくありません。
ファリン
魔物以外に興味・関心が薄いライオスですが、そんな彼がとても大事に思っている存在が、妹のファリンです。そんな妹の親友という相手(マルシル)に劣情を催すなんて真似ができなかった、というのも真面目な彼であれば頷けます。
マルシルに対する感情に無意識にセーブをかけていたという可能性もあるかもしれませんね。
そもそも人間に興味がない
そもそもの話として、ライオスは人間というものに興味がありません。もちろん仲間たちのことは大事に思っているのですが、ライオスという人物の根底には、人間に対する嫌悪と諦念があります。そのことは有翼の獅子にも見抜かれていましたし、現にこれまで接触を図ってきたカブルーのことも全く覚えてませんでした。
そんな人間が「人を好きになる」なんてこと土台無理な話なのです。
しかし、最終回を迎え、メリニの王となり、人と向き合わざるを得ない立場になったライオスはこれから多くの人間と関わっていくことになります。彼が人に関心を向けるようになったその時、彼は恋をするのでしょう。
マルシル側の問題
ハーフ故の苦悩
物語の後半で判明しますが、マルシルはトールマンとエルフの混血種(ハーフ)です。そしてハーフは、原種に比べて長命であること(ハーフエルフの場合でだいたい1000歳)、そして子供をもうけることができないという、かなりハードな宿命を背負います。
恋愛小説が大好きなマルシルですが、そんな境遇に生まれた彼女は、そもそも自分が誰かと恋仲になるという発想が思い浮かばなかったのかもしれません。
ちなみにこれは完全に余談ですが、この人たちもハーフ(混血種)です。ハーフはその肉体的性質上、非行に走りやすいのかも……。
結論:ふたりの関係性
結論、作中時点でのふたりの関係性は「パーティーメンバー以上恋人未満」というところでしょうか。
しかし、先述した理由もあって私は、このふたりのことを「これからのふたり」だと思っています。
翼獅子と戦いを経て、王となり人と向き合って生きていくことを選んだライオス、顧問魔術師としてライオスのとなりで生きていく道を選んだマルシル。色々な意味で迷宮の呪縛から解き放たれたふたりは、ようやく自分自身を、そして隣にいる誰かのことを思いやることができるはずです。
最終回後、ふたりは結婚したのか
最終回後、王となったライオスが誰と結婚したのかは明かされていません。(ちなみにオーク族長の妹・リドとは結婚していないと、後に作者がコメントしています)。ふたりが恋仲に発展するのか、しないのかは結局のところ分かりませんが、最終回や「ダンジョン飯 ワールドガイド」にて語られたその後のことを見ると、2人はお互いをかけがえのない存在として、長く人生を共にしたことは間違いありません。
ちなみに……
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